顔も知らない相手
第一章 恋の始まりはチャット!?

♯01

長い長い恋が終わった。

今思うこと、

苦しい。

ただそれだけだ。


「さめた」
その一言。
たったその一言で私の4年の恋は終わったのだ。


私のこの恋が始まったのは中学3年の夏だっただろうか。
今ではその時の記憶なんて曖昧だ。

友達におもしろいからと言われてチャットというものを始めたんだ。
ネットを介して誰かと話す、その人が誰か分からないのに。
そんなことに時間をとって何が楽しいのだろうと馬鹿にしていた。
ただなんとなくパソコンを開いてただなんとなくサイト開いて始めただけだった。
暇つぶしだ。
その暇つぶしが徐々に趣味に変わっていくのはそう遅くはなかった。

誰かと時間を共有して好きな話ができる。
思っていたより楽しいと感じるようになり私は毎日夜になるとそこで誰かと話をした。
毎日行くようになれば知っている人が多くなり大体話す相手も決まってくる。
しかしその日は私がよく話す相手が誰も来ていなかったのだ。

私は暇だなーと目のついた部屋に入ってそこの主である彼にあいさつをした。


「こんばんは!お初です。よろしくお願いします」と。


大体初めての相手にはこんな感じであいさつをするのは決まっている。
返事も想像がつくでしょう?
しかし彼から返ってきた返事はなんとも想像しにくい返事だった。


「誰がよろしくするか!」


敵意むき出し。
なんだこいつ・・・。
さすがネット住民。中には変な人もいるんだなと思いそこで退出すればよかったんだ。
でも私はなぜか彼にさらに話しかけたんだ。


「性格悪っ!なに?誰か待ってるから入って来て欲しくなかったとか?」


「いいや。ただの俺流のあいさつ」そう彼は答えたんだ。


やっぱりよく分からない。
そう思っていても私は彼と話すことをやめなかった。
それが興味があったからなのかただの暇つぶしだったのか今では覚えていないが・・・。
しかしその後私は彼と話をするのが楽しくなって彼の周りの人とも話をするのが楽しくなって毎日同じメンバーで話をしたんだ。

後にみんな忙しくなって、来たり来なかったり・・・。
全く顔を見せなくなったメンバーもいた。
新しくメンバーが増えたりしたが私と彼は変わらずその中にいた。
今思えば暇人の2人だったんだなと思うのだが。
私はこの時から彼と話したくて毎日行っていたように思う。
恋心なのか友情なのか。
顔も知らない相手に恋心を持つというのはやっぱりおかしいのだろうか。

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