シオン



そっと彼女の手に僕の手を近づけてみる。


「ねぇ、聞いてる?」


「え?ああ、ごめん。なんだっけ?」


手を繋ぎたい気持ちに囚われ、


彼女の話が耳に入っていなかった。



「もう!」


顔を膨らませて

また楽しそうに話し始める。


少し怒った表情の彼女も好きだと思った。


< 13 / 89 >

この作品をシェア

pagetop