P.S 母さん、愛しています。
前略、息子へ
『財布の残金わずか75円』


『明日パンの耳とモヤシを買ったら0円』


『母はもうすぐ死ぬかもしれない』



『もしも私が死んだら……』



『財産は全部あげる』


『こんな母でごめんね』


『それでも陽希のこと、大好きだったよ』





「……何だこれ?俺の母親は一体いつからお笑いに転向したんだ?」


呆れながらLINEの文字を既読ムシする俺の名前は前田陽希(まえだ はるき)


3月生まれの魚座で兄弟のいない一人っ子。

この4月から県立高校の2年生をやる予定。



LINEの送り主は俺の母親。


名前は前田千夏(まえだ ちなつ)

年はもうすぐ50歳になる筈だけど……。



(実はよくわかんねぇんだよなぁ〜〜)



俺が母親と最後に会ったのは、確か5年くらい前だったと思う。

それを最後に会ってない。


…ってゆーか、帰って来ないんだよ。自分の実家に。





俺は母親の生まれた家で暮らしてる。

家族は、ばあちゃんとおいちゃんとネコのミー。


ばあちゃんは母親の親で、おいちゃんは母親の弟。

ネコのミーは雑種のキジトラで、年はサッパリ分かんねぇ。



母親は、世間で言うところのシングルマザー。


シングル…なんて言うと聞こえはいいけど、俗に言う、どうしようもねぇ「お一人様」だ。




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