P.S 母さん、愛しています。
「毎日一緒に行き帰りしてるからてっきりそうなのかと思ってた!な〜んだ、違うの〜」


笑いながら安心してる?


(気のせいか)


「じゃあさ、前田君の彼女って他にいる?」


お決まりのような質問だな。


「いねーよ。そもそも莉央が周りをウロついてる時点で誰も寄ってもこねぇ」

「あはは!莉央ちゃんのせい?」

「…ンなもん」


莉央がもしもいなかったら。

そんなの考えたこともねぇけど。


「だったら私が立候補してもいい?」

「何の?」

「前田君の初カノに!入学した時からイイな〜って思ってたの。前田君のこと」


言いにくいこともサラッと言うな。

才女はよほど自分に自信があるらしい。


「…悪いけど誰とも付き合う気ねーから」


女なんてクソ食らえ。

『好き』なんて言葉は聞くのもヤダ。


「どうして?女嫌い?」

「まぁ…そんな感じと思って」

「呆れたぁ。幻滅…」


何が幻滅だ。

勝手に幻作んなっ!


ぶぅたれてものも言いたくなくなった。

秀才の浅香さんは、面白くなさそうな顔をして逃げてった。



「どいつもこいつも面倒くせー」


愚か者の母親よ。

一つだけ教えといてやるよ。



俺の女嫌いはお前のせいだ。

自分の人生を生きると決めて、お前が家を飛び出してったからだ。


いつか誰かに捨てられる。


そんな風にしか思えなくなった。

だから、俺は女は信用しない。

勿論、男も半分以上は信じてない。



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