痛いくらいのキスをして
01.女の価値
あなたに出会うまでの私は、
自分を大事にできない最低女でした。






女に生まれて良かったって思ったのは、
単純にお金になるから。

親からもらった身体は大事にしなさいって世間は言うかもしれないけど、身体を使ってお金を稼ぐ女にはそれなりに理由があったりする。


「麻衣ちゃんは借金なんだー。あたしは家計がやばくってさぁ。旦那が仕事しねーのよ」

風俗嬢の待機室のイメージって一般的にはキャバクラに居そうなケバーいお姉様方がペラペラしゃべってそうなイメージでしょ?

まぁ、店によってはそんな店もあるのかもしれないけど。

私の店はどこにでも居そうな普通の女の子ばかり。
昼間はOLさんとか、大学生とか、あとはシングルマザーも多い。

今目の前に居るのは25歳の新人風俗嬢、アキ。

「アキちゃんは子供居るの?」

「いるよー!写メ見る?」

待ち受けに映る2人の幼い女の子。

あぁ、ふだんはママなんだね。

「かわいい。アキちゃんに似てるね」

「でしょー?麻衣ちゃんは今彼氏は?」

「いないよー。もうしばらく男作る気ないし」

「まじか!麻衣ちゃんいくつよ?」

「27。店では20歳で通してるけど、キツイでしょ?」

「そんな事ないよー!全然いけるじゃん?」

底抜けに明るいアキとの会話を楽しんでいたら、待機室の電話が鳴った。

18歳シングルマザーの唯ちゃんが受話器を取ってこちらを見る。

「麻衣ちゃーん、指名入ったよー」

本日3本目の客。
この仕事が終わったら今日は帰ろうかな。

今日はいくら稼げたかな。

いや、まだもうちょい粘ろうかな。

この借金が終わらない限り、あたしは夜の世界から抜け出せない。





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