対象外でも恋咲く
「そうなんですね。……あー、いいな。私も素敵な彼氏が欲しいので頑張ります!」


「あ、うん。私が言うことではないと思うけど……頑張ってね。きっと菊池さんに合う素敵な人が現れると思うから」


瞳は心から紗和に素敵な恋人が出来るようにと祈った。


紗和は占い師が言ってた「イケメンに恋する」を思い出して、その日の仕事帰りに『春子の部屋』を訪れた。


外の看板には『恋の行方を占います』とあった。

恋の行方……振られる結果となった紗和には皮肉な誘い文句だ。

一言文句を言ってやろうか……そんな気持ちが出てきてドアを開ける。


「いらっしゃーい。あら、きれいなお姉さん、また来たの? なんか怖い顔してるけど、どうしたのかしらー?」


呑気に明るい声を出す占い師に紗和は苛立つ。だけど、占い師は気にすることなく、ハーブティーを紗和の前に置いた。


「まずそれを飲んで心を落ち着かせてごらんなさい」


紗和は熱々のハーブティーに軽く息を吹きかけてから一口飲んだ。

その様子を見ながら、占い師は水晶玉をテーブルに置く。
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