対象外でも恋咲く
弘人は総合電機メーカーの営業部営業1課に勤務していて、来月誕生日を迎えて28才になる。

身長は178センチとスラッとしていて高いが、くりっとした目がかわいくどこかのアイドルグループに入れそうな顔立ちをしているのでモテる。

そんなモテる男が振られたわけだが、「なんでモテる俺が振られるんだ」という自信家のような考えは持たない。

理由は振られたのが初めてではないからだ。

今回は縁がなかったと割り切ることにして、「幸せに」という言葉を目の前の二人に掛けて、カフェの外に出た。


今日は金曜日。女とカフェで待ち合わせをして、その後弘人の家で女の作った料理を食べて、明日までまったりと過ごす予定だった。

大きく予定が変わったことに弘人はため息をつく。

何かを食べて帰ろうと通りにある店の看板を見る。

そこで目に止まったのが、食べ物の看板ではなく…


『どん底のあなたを占います』という怪しげな看板。


どん底というほど落ちてはいないと思いながらもその看板へと足を歩ませた。
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