次期社長の甘い求婚
「どんな人となら、美月は幸せになれるわけ?」


「それは、その……普通の人です! 普通の家庭で育った人で、仕事していて……。裕福な暮らしじゃなくてもいいから、ずっと笑って暮らせる人。……私のこと一生大切にしてくれる人」


理想の相手を口にしていくたびに、神さんは眉を中央に寄せた。


「じゃあ俺とは正反対の人ってわけだ」


ハッキリ言われてしまうと返答に困るものの、ゆっくりと頷いた。

神さんの言う通りだから。


私は神さんのような人とは絶対恋愛したくないって思っていた。

お母さんのようになりたくないから。


なのに、どうして伝えたことを今、後悔してしまっているのかな?

胸が痛んでいるのだろうか。


神さんを傷つけてしまったかもしれない、と思うと胸が痛んでしまう。


押し寄せる感情に戸惑っていると、神さんが口を開いた。


「悪いけど、それを聞いても美月を諦めるつもりはないから」


力強い言葉に心臓が飛び跳ねる。

彼を見据えれば、真剣な眼差しを向けられていた。
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