次期社長の甘い求婚
【can not believe】※信じられません
まさかの事態は次の日起こった。


「小野寺さん、ごめん。三階の廊下の蛍光灯切れちゃっているみたいで。申し訳ないんだけど、交換してきてもらってもいいかな?」


平日の昼下がり、書類の整理をしていると急にパタパタと駆けてやってきたのは鈴木主任。

相変わらずぴょんと跳ねている髪を大きく揺らし、オーバーに頭を下げてきた。


「本当は俺が行きたいところなんだけど、例の如く仕事に追われていて……」


申し訳なさそうに頭を下げ、今にも泣き出してしまいそうな情けない顔に、今日も私はキュンとさせられてしまう。


「もちろん喜んでやりますよ。なので、頭を上げてください」

「小野寺さんっ……!」


まるで女神を崇めるかのような目を向けられると、やっぱり視線を逸らしてしまう。


キラキラ光線が出ているんじゃないかってくらい、鈴木主任の目は輝いている。
この目……私にとって破壊力抜群で困りもの。


「えっと……それでは行ってきます」


逃げるように席を立つと、再度オーバーに「ありがとうっ!」と悲痛な声に送り出され庶務課を後にした。
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