次期社長の甘い求婚
「なに言っているんですか。私なんてまだまだペーペーの新人ですから」


「えー、そんなことないと思うよ。いつも真面目に取り組んでいて吸収早いし、ミスも少ないし。俺なんかよりよっぽど適任」


相変わらずヘラヘラ笑う姿に、胸が締めつけられていく。


鈴木主任には申し訳ないけど、この頼りない笑顔、ツボだったりするんだよね。

目尻に皺を沢山作っちゃって、優しさが滲み出る笑顔は何度見ても胸をときめかされてしまう。


ここは鈴木主任の士気を上げるべく、気の利いた言葉を掛けるべきだというのに、今の私はそれどころじゃない。

心臓の鼓動を聞かれていないかとヒヤヒヤしてしまう。


「それに今日もごめんね。男がやるべき雑用を押しつけちゃって」


顔の前で両手を合わせ謝罪してきた彼に、すぐに手を振った。


「そんな全然ですよ! 蛍光灯の交換だって立派な仕事じゃないですか。なので謝らないで下さい」


きっぱり言うと、鈴木主任は面食らったように目を見開くも、またいつものように細い目をさらに細めて微笑んだ。


「小野寺さんの面倒な仕事も嫌な顔ひとつ見せずやってくれるところ、俺好きだな」

「――え」
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