レーザービームの王子様
「ごめん、待たせた」



私が通話を切ったと同時に、久我さんは目の前にたどり着いた。

スマホをバッグにしまいつつ、彼を見上げる。



「いえ……さっき来たところ、なので」

「そっか」



にこりと笑う久我さんに何ともいえない気持ちになり、さりげなく視線を逸らす。


ほんと……なんで、こんなことに。

改めて思いながら、ため息をつきそうになるのをなんとか堪えた。


2日前の木曜日。久我さんから改めて謝罪したい旨のメッセージをもらった私は、当然ながら『必要ないです』と丁重にお断りさせていただいた。

だって、文面を見るに……つまりは謝りたいからまた会いましょうってことだよね?

たしかに多少の迷惑は被ったわけだけど、そこまでさせるのは何だか申し訳ないし。……というか、相手は有名人。そんなことで、わざわざ一般人の私がお呼び立てしてしまうのはおこがましい気がした。

そんなわけで、久我さんの申し出は断ろうとしていたのに……薄々感じてはいたけど、元から強引な性格らしい彼はそれを許さず。あれよあれよという間に、今夜食事をごちそうしてくれるという約束を取り付けてきたのだ。


……なんか私、最近流されすぎ?

こ、こんなはずでは……。
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