吸血鬼に甘い鎖を
恋迷宮

ティナ

『…チッ。

誰だよ、客ってのは。
さっさと終わらせたいってのに』


エントランスホールで
待ちながら愚痴るクロト。


そのそばでリヴィアが
ドアの方を見ながら言った。



「…まーなぁ。

おまえに来る客なんて
めったにないし、
大体は陛下の客だし」




『けど俺だって
たまには来るぜ?


昔契約してた女とか…』



「おまえの場合女ばっかだろ」



『ほっとけ!』







ガチャッ。





『…待てよ、なんか
嫌な予感がしてきた』




ドアが開いた瞬間
引きつった顔を見せる。






「あら!

探しましたわよ、クロ兄!」



ホールに響くのは
きれいな少女の声。





『…やっぱり』








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