私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

反省の色


「秋奈、遅かったね」

「うん、ちょっとね」

 たまり場に行くと、商店街の人たちもいて、尾木くんはたまり場の奥で座らされてた。

 尾木くんを縛ったひもはトーマスが握ってる。

「さっきから謝りもしねぇ。警察に突き出した方が早いと思うぜ」

「それより、取った金を返してもらわんことには敵わねぇよ」

「そりゃそうだ」

 大人たちの会話は、当たり前のことで、尾木くんは全然反省の色は見せていない。

 尾木くんの前まで行くと、顔をそむけて私を見ようともしなかった。

「…尾木くん、みんなに言うことがあるんじゃないの?」

「…」

「お金、取ったよね?謝る気、ないわけ?」

 何も言わない。ただ黙ってるだけ。

 視線を合わせるためにしゃがんでも、尾木くんと視線は合わない。

「…やってないの?尾木くん、なんか言って」

「…あぁ、そうだよ。俺が取りました。すんませんでした!」

「てめぇ、なんだその態度は!!反省する気ねぇのか!!」

「ミート、落ち着けって」

 お父さんが怒ったミートさんを止めてくれるけど、本当はみんな怒ってる。

 怒りを抑えないといけないほどに尾木くんはまるで反省しない。
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