私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「行くよ、夏」

「おう!いつでもいいぜ」

 2人で息を合わせて一緒に引く。後ろの2人の力も加わって台車は動き出す。

 動き出したのに合わせてどんどんスピードを上げていく。

 だんだんと商店街の十字路が見えてくる。

 みなさん分かっているのかちゃんと十字路の真ん中を開けといてくれてた。

「志季のお通りだ~!!」

 トーマスこと鳥羽さんの声に雄たけびを上げる男性陣。

 トーマスはね、ただいま3回目の高校3年生。今年20歳。どっかの総長だったとか?今ではみんなの兄貴だけどね。

 十字路に差し掛かったところで急ブレーキ。

 左右には小さな子を連れたお母さんたちがいっぱいいた。

「さぁ、始めるよ!」

 両手をいっぱいに広げて、台車の前から飛び出した。

 すると、周りの子どもたちから歓声が上がる。

 ついでにお母さんたちの目が光ったような気がした…。
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