太陽みたいな人でした。
「おはよう!亜子さん少しいい?」
女子の真ん中から爽やかな挨拶が聞こえた。
「おはよう…ございます。」
きっと今、あの人は俺モテモテ〜とか考えてるんだろうな。最低。
私があの悪魔の事を好きという誤解が生じている。
それだけでもムカムカする。
なのになんで朝から呼び出しされなきゃいけないんだ…。

「朝からごめんね。」
荷物を置いてから職員室へ向かうと先ほどの取り巻きはほぼいなくなり、ほかの先生に聞かれてはいけないのか廊下にたって待っていた。
私にとっては最悪な空間でしかなくなっていた。
「ミキさんのことなんだけど人間関係が上手くいってないのは聞いてる?」
「はい。」
お前がミキに変な事言ってるのもね。
「一応俺も話は聞くようにするけどもし何かあったら亜子さんも支えてあげてね。」
一応かよ。
「はい。」
この性悪悪魔め。
「この性悪悪魔め。」
「ん?」
……ついつい思ってたことが口に出てしまっていたようで…。
「あはは…」
「性悪悪魔?」
岩淵先生の顔が少しずつ歪んでいく。
こうなったら…
「性悪悪魔って言うのは先生のことですよ!
先生この間、ミキに亜子さんって俺のこと好きなの?って聞きましたよね?」
もう言ってしまったからには後に引くわけにはいかない。
「何のことかな?」
先生は何も無かったかのように爽やかな笑顔で聞き返してきた。
「ほんとに聞いてないんですか?」
「ほんとだよ。」
そんなの私は信じない。
「じゃあ、ミキが嘘ついたってことになりますよね?」
「…。」
生徒を嘘つき呼ばわりするのは性悪悪魔でも無理だろう。
「どうなんですか?ミキが嘘ついてるんですか??」


「…はぁ。」


…溜息?
今までの雰囲気とは少し違う。
いつもよりテンションが低く感じるが気のせいだろうか…。
「黙っておけって言ったのになんでわざわざ話すかな…。」
はい。気のせいじゃない。悪魔様降臨。
「岩淵先生。やっぱり先生が聞いたんですよね。謝らなくていいので今後一切ミキに変なこと言うの辞めて貰えますか。」
ここでひるんだらわたしの負けだ。
先生の目が怖い。
元々目が大きく、眼力が強いのに、悪魔降臨後はより一層怖い。
「…はぁ。分かった。ごめんね。」
悪魔は頭をぽんぽんして職員室へ入っていった。
その後は絶対謝る気は無かったんだろうなとは思いつつも何事も無かったように先生の授業を受けた。
先生もいつもと変わらず、特にこれといったことは無かった。
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