小さな手のひら



「…で、あの」

「……何ですか?」




(何で泣いたの、なんて聞いたらまた泣かしちゃうかもなぁ)



「…ハンカチ、ちゃんと返したので…それじゃ、」

あたしはちゃんと目も合わせずに、そのまま踵を返した。














少しして、気がつく。



「……なんで着いてきてるんですか」
「へ?あ、」


振り返ればやっぱり、蒼眼少年が居た。



大きい瞳で見上げられて少しドキッとしたけど、その時はよくわからなくて。
少年は少し目を伏せてから、また見上げる。


「…名前、知りたいと思って」




(声かければいいのに、)


「…伊吹憐、高校1年です」

つい癖で学年も行ってしまった。
蒼眼少年は大きい目をさらに大きくして、あたしの名前を復唱する。


「…伊吹憐、さんですか?」
「はい、」








「俺、淡海蓮(あわみ れん)っていうんです」





(…え、え?)
< 14 / 17 >

この作品をシェア

pagetop