小さな手のひら





「あんた、授業中ホントに寝てたんだ?」

「嘘寝しても得ないもん」
「ホントに寝てても得ないでしょ」


長い長い6限が終わり、あとは家に帰って即効寝るだけだ。
帰宅部最高。


「じゃ、あたしは部活あるから。また明日ねー」

「おーう、明日まで生きてろよ」


「憐もね!ばいばいっ」



あいつは福本咲良(ふくもと さくら)、幼稚園からの悪友で。
なんだかんだいいつつもいつの間にか同じ高校に受かってしまった。
…いわゆる、幼馴染とでも言うのだろうか。

桜が見えなくなると、振っていた手を大きく上に伸ばす。
欠伸してから、脇にある鞄を手に取り教室をあとにした。





(…なんか、ヤな音がする)





ふと、窓に視線を変える。



「…うげ」









外はまさかの、土砂降りだった。











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