龍神×紅蓮


先に出て行った洋介を追いかけると


「何で…」


洋介のお母さんが立っていた。


その後ろにはさっきの男の人、洋介の担任だった人もいる。


洋介は何も言わず、立ち尽くしていた。


だからあたしは2人の間に入った。


「あたし、お帰り下さいって言いましたよね?」


さっきの話を聞いてしまった分、きつくなっしまう口調。


洋介のお母さんは、でも心配で、と困ったように微笑んだ。


すると、洋介があたしの隣に立って


「もう俺には関わらないで下さい、俺はあなたと暮らすつもりはないから」


それだけ言うと、あたしの腕を掴んで歩き出す。


後ろで洋介を呼ぶ声がしたけど、それを無視して歩く。


「洋介、いいの?」


恐る恐る聞いてみた。


そしたら、


「いいんだよ、俺には紅蓮と、希がいるから」


振り返った洋介の顔には、笑顔が浮かんでいた。

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