龍神×紅蓮


便箋の所々に涙の跡が残ってる。


菊も辛かったんだよ…


2人とずっと一緒に居た菊は、彼氏も居なかったんだろう…


だから、そういう行為はした事ないのに。


「女の子にとって、初めてがレイプっていうのは、本当に死にたくなる程辛い事。汚れた、そう思うと誰とも一緒に居たくない。それが今までずっと一緒に居た人なら尚更ね」


そう言って、便箋を元に戻し椿に返す。


「希、ちゃん?」


つい、過去の自分と重ねてしまう。


状況は違えど、された事は同じ。


だから、菊の気持ちは痛いほど分かる。


「希」


清羅があたしを呼ぶ。


「あ…」


そこで気付いた。


みんながあたしの顔を見て、複雑な顔をしてた。


「ごめん。あたしも同じ女の子だからね、一応菊の気持ちは分かるつもり」


そう言ってみたけど、みんなは納得のいかなそうな顔をしてる。


そこに助け舟を出してくれたのは、悠司だった。


「希、そろそろ行こう。竜さんが待ってる」


「あ、うん」


みんなに背を向けて歩き出したあたし……の腕を掴む椿。


振り返ると、控えめに微笑んでた。


きっと、さっきの事を気にしてるんだ…


まだ、言えない…


ごめんね、あたしはずるい人間なんだ……

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