ある日、パパになりました。
咲のことを説明し終わると、雪は安心したように、
「ふ~ん、そういうことなんだ。焦って損しちゃった」
「ん、何故お前が焦るんだ?」
「てっきり、相手がいるのかと……ポッ」
「いや、お前、男だろ!」
「えっ!?」
俺の発言と同時に咲が驚きの声を上げた。
「雪菜さんって、女性じゃなくて男性なんですか!?えっ、だって、その髪にその格好・・・・・・」
まぁ、そうだよな、と思いながらも改めて雪の格好を見る。雪は名前に雪と入っていることもあり、大の白好きなのだ。だからなのか、髪は白(まぁ、シルバーだが)で染め、服はなんと!白のワンピースなのだ・・・・・・男は普通着ないものだろ・・・・・・まぁ、可愛いんだけどな。と、ここで雪が俺の視線に気づいたようでニコッと微笑んできた。はぁ、と俺は頭を抱えながらも、まだ俺の隣で通常運転に戻れていない咲を助けることにした。雪はこの際放置!
「咲、少しは理解追いついてきたか?まぁ、これから慣れてくれよ」
やはり、この反応が普通なんだよな・・・・・・アリスは普通に接していたのに。ま、いっか。
「はい・・・・・・」
なんか、いま、デジャヴったような気が。

「ねえねえ、ゆっくん〜」
「あ、忘れてた。そういえば、雪はなんで今日来たんだ?遊びに来た――格好ではないよな?」
「そうそう、今日、何の日が覚えてる?ってか、知ってる?」
俺は少し考えて、
「覚えてない、というか、知らんし、わからん!答え教えてくれ!」
「ねえ、ゆっくんさぁ、2次元のモノ以外は興味が無いことは諦めてるけどさ、せめて、自分が関わった人のことぐらい知ってないとダメだよ!」
「ん、どういうことだ?俺と関わった人?誰のことだろう」
俺の頭の中で今までに出会った人の顔がグルグルと回っていく。アニメ化の時?それとも編集社の人?普通に友達とかか?うーーーむ。
頭をひねって考え込んだ俺を見て、雪は諦めたように、ため息をついて、
「だから!今日はルナキラが13:30からライブするの!しかも、初のワンマンライブ!なんで、知らないの?」

「へぇ〜〜・・・・・・で?」
あ〜なんかそんな事をアリスが言っていたような・・・でも、外出したくないな・・・・・・咲もいるし。そう思い、咲を見ると・・・・・・目を輝かせて俺と雪の方を見ていた。
「雪菜さん、その話って、本当ですか!?」
ど、どうした、咲!?なんで急に・・・・・・あ!そういえば、咲って俺の本の大ファンだったっけ?
ちなみにルナキラというのは、俺の初アニメ化作品のオープニング曲を歌ってくれた2人組の声優ユニットだ。
なるほどな、だからか。にしても、ほんと、咲は好きなことの話題になった時のキャラの変化ってすごいよな。雪も驚き隠せてないし。俺は、咲に恐る恐る聞いてみた。
「咲、もしかして、行けるなら行きたかったりする?」
「はい!行きたいですっ!」
「まぁ、行けないことはないけど・・・・・・」
と雪の方を見るというか助けを求める。雪は俺の視線に気づくと、
「そういえば、ゆっくんには届かなかったの?チケット」
「へっ?チケットが届く?何の話?」
「えぇーーーーー!?」
と驚く雪を見て、流石に大げさだろうと思いながら、机の下に置いている箱を取り出す。この中には郵便物(ファンレター以外)を適当に放り込んでたまってる状態なのだ。いや、まぁ、めんどいし?許して?
しばらく経って、「あ、これかな?」そう言って、一枚の豪華な装飾が施された封筒を手に、それを雪に見せる。それを見た雪は、呆れたように頭を抱えて、
「そう、それ。僕が言ってたのは。そのチケット、特別招待券だからね?」
「へぇ〜そうなのか、全く気づかなかった」
とそこまで言って、横からの咲の少し怒っているような視線に気付き、急いで弁解しようとする。(ほとんど効果は無かったが)
「あ、このライブまであまり時間ないじゃん。ほら、行くなら咲、急いで準備するよ」
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