ある日、パパになりました。
買い物に行こう!
 翌日、俺が昼前に起きた時に、ちょうどチャイムが鳴り、葵が来た。そして、半分押しつけるように、諭吉さんを1人お供に付け、見送った。その三十分後に、雪が来た。まだ寝ていた咲を起こし、雪に頼んで着替えさせて、その間に俺も着替えて、出発した。ちなみに雪は相変わらずの白いワンピースだった。多分、雪の一張羅なのだろう。

 俺は、久しぶりに車に乗っていた。近場で済ませようと思っていたが、咲の希望でお買い物の他にドライブに行くことになり、今に至るというわけだ。しかし、ここで問題が起きている。それは、

――車を運転するのが久しぶり過ぎて、しっかり安全運転ができるか自信がない――

ということなのだ!!しかも、今回は俺一人じゃなくて、咲と雪が乗っているから尚更緊張する。この二人は俺が心の中で、「安全運転、安全運転。事故らない、事故らない」と念じていることを知らない。多分。後ろで楽しく話している二人は。

 目的地は熊本。最近、地震が起こり、市内が多大な被害を受け、多くの犠牲者が出た県だ。今は殆ど復興しているらしい。ちなみに、俺が今住んでいるのは福岡県だ。まぁ、俺の住んでる県のことはどうでもよくて。なぜ熊本に来たのかというとただ単に近いというだけでなく、咲に地震の恐ろしさを知ってもらいたかったからだ。余談だが、俺の出身は熊本の天草市というところだ。「天草」という単語に聞き覚えがある人はいるだろう。おそらくキリスト教徒の最大の反乱「島原・天草一揆」やそれを起こした「天草四郎」では、ないだろうか。というか、そう説明すると大抵の人は「あ~」と言ってくれる。っと、話が逸れてきた。それで、話を戻すと実はもう熊本市内に着いていたりする。
 車で市街地を通っているとき、咲はというと、窓から見える外の景色に釘付けだった。このとき、雪は咲の膝枕で寝ていたことを知ったのはショッピングモールに着いて、車を降りたときだった。

う、羨ましいなんて、お、思ってないんだからな!!

 その後、ショッピングモールに着いた。そして、車を降り、中に入る。やはり春休みなので、人が(特に子供連れ)多かった。あ、俺たちも同じ部類に入るのか。(笑)
最初に咲の文房具等を揃え、必要なものを買い終わり、今は咲や雪の洋服やその他アクセサリーを見ていた。ちなみに、俺は荷物持ちをしていた。うん、まぁ、分かってたけどね。
店の外にあるいすに座って、二人を待っていた。すると、

「パパ~~」

と、咲が走ってきて、

「どう?似合うかな?」

と、さっき買ったらしい服を見せてきた。咲が着ていたのは、白いワンピース。

「まって~咲ちゃ~ん」

その後ろから、雪が小走りで走って来た。そのため、少し息が切れている雪を放って置いて、咲に恐る恐る聞いた。

「咲、すごくそのワンピース似合っているね。ちなみにだけど、それ自分で選んだの?それとも、雪から薦められた?」

どうしても聞きたかったことを聞いた。その質問に咲は、

「それは、女の子のヒミツ。ねぇ~~雪奈さん」
「ねぇ~~咲ちゃん」

そういって、咲と雪は笑顔で顔を見合わせる。それを俺は、女の子同士ということにすご~く違和感を覚えながらも、

「へぇ~~そうなんだ……」

と、返すことだけしか出来なかった。やばい……もしかして俺の好みが雪にバレたのか。いや、そんなこと一言も…はっ!だからあいつ俺と会うときはいつも白いワンピースなのか!ってことは、まさか咲にも…お、終わった。まぁ、もっと大きな秘密はバレてないだろうけど。
そんな優羽の焦りとは裏腹に咲は、雪奈と二人でワンピースを買った時のことを思い出していた。
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