ある日、パパになりました。

三人の楽しい夜

俺が家に着いたのは夜の7時ちょうどだった。家は明かりがついていて、中からは葵と咲、二人の楽しそうな話声が聞こえる。少し気になって、中には入らずに外で聞いていると……どうやら俺のことを話しているらしい。
「咲ちゃんって、お兄ちゃんのこと好きだよねぇ」
「はい!パパは私に本当の子供の用にやさしくしてくれたり、いろいろなところへ連れて行ってくれたり、今まで出会った大人の人とは全然違って、初めて人の優しさを教えてくれた人だから……」
「うんうん。お兄ちゃん、やさしいもんね。まあ、昔はそうじゃなかった時期もあったんだけどね。あ、このことはお兄ちゃんには秘密ね」
「えっ!?そうなんですか?私はてっきりずっと今のままだったのかと……」
「じゃあ、証拠の写真見てみる?たしか、アルバムがしまってあったはず」
「いいんですか!?」
「もちろん……(多分)」
やばい、やばい、やばい。アルバムだけはだめだ。俺の黒歴史が詰まっている。中二病だったころや葵と不仲だったころなど、更にはちょっとグレてた時などなど。死守しなければ!!
「ただいま」
家の中に入ると奥の部屋からバタバタと騒がしい音が。戸を開け、部屋に入ると、葵と咲が正座していた。
「なにしていたんだ?随分と楽しそうだったみたいだけど?」
まあ、知っているけどね。
「ん、ちょっとした世間話だよ。アハハ」
「ふーん、そうか。ところで、晩御飯はもう食べた?」
「ううん、まだだよ。お兄ちゃんが帰ってきたら一緒にと思って」
「そうか。じゃあ、俺が何か作るか」
俺はおもむろに冷蔵庫を開けた。
「カレー作ろうと思うんだけど大丈夫?」
部屋で待っている2人に聞いてみると、
「「はい!!」」
元気な返事が返ってきた。
それを聞いて俺は調理に取り掛かった。
「あ、先にお風呂入ってきてー」
「「はーい!!」」
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