囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
お婆ちゃんは、イジワルを言ってる訳じゃなかった。

80年間も藤城に囚われ、見つめ続けた結論は、私にズシンと重く響いた。

私の愛は、浅はかだった。

いつしか私はすっかり消沈し、肩を震わせて泣いていた。 

お婆ちゃんは黙ったままだ。

喉につかえて上手く喋れないまま、やっとそれを尋ねた。

「お婆ちゃん。それ……私のとこじゃないと……ダメかなあ……
……次に……回すワケには……」

「……オマエがもし…」

お婆ちゃんが、何かいいかけた時だった。

「待たせたな」

電話を終えた彼が上機嫌で戻ってきた。

私は慌てて涙を拭いて、笑顔を作った。

お婆ちゃんはもう焦点がさだまらずに、何をいってもニコニコ笑っていた。
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