囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「あの~、これは一体どういうコトなのでしょうか?」
「………後藤田。説明は」

 ゆったりとしたチェアに腰掛け、目の前にいる貴彪さんは、隣に立っている後藤田秘書を振り返った。
 後藤田秘書は、クイッと眼鏡を持ち上げると、抑揚のない声で返事をした。
「はっ。
 機内で済ませてあると……
 一応の報告は受けておりますが」

「………なら、そういうことだ」
 彼はもう一度私に向き直ると、ひどく涼しい表情(かお)をして、軽く首を傾(かたむ)けた。

 黒ずくめの男達は、全て彼の部下だったのだ。

 その後、ばかデカイベンツで、着の身着のまま連れ出された私は、あれよというまに小型ジェットに放り込まれ、半日かけて彼の出張先、ドイツへと空輸されてしまったのだ。

 ここはさるホテルの一室。滞在期間中、彼が執務室として借りている場所だ。

 机を挟んで向かい合う彼に、私は断固抗議した。

 だって、ビックリしたんだもん!

「確かに聞きましたよ?ええ聞きましたとも!
 だけどね。
 私は、アナタの口から直接聞きたいんです。
 一体何でこんなに急に、しかも一言の相談もなく…
 私はてっきり誘拐に遭ったものだと覚悟して…」
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