囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「え……ちょ、ちょっと。いいですよ、自分で食べれますから、貸してくださいっ」

私が奪おうとしたスプーンを、彼は高く遠ざける。

「いいから。うちは病気の時、いつもこうだったんだから」

え……
ワタワタと動かしていた手を、ピタリと止める。

オニのような課長にも、冷たい家にも、かつては暖かいエピソードがあったのかもしれない。
嬉しくなって彼に尋ねた。

「もしかしてお母様が?」
「イヤ、……例のバーさんだ」

彼が表情を固くしたので、私は慌てて口をつぐんだ。

「さ、溢れてしまう。早く口を開けろ “あ~ん” ってしろ」

「うう…」

観念した私は、半開きに唇を開けた。

「もっと大きく。入らない」

ヤケクソに目を閉じて、あーんと大口を開ける。
スプーンがそっと挿し入れられる。

「よーし、ゴックンしろ」

言われるままにゴクンと飲み込む。

こ…これ、かなり恥ずかしいですよ課長。

 子供のカチョーとおバーちゃんのバアイを、仮にも若い男女の我々と一緒にしちゃあ、ダメなんじゃないの?
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