君の声で目覚める朝。
「いいよ、ゆっくりで」
そう言えば、彼女は不安気な瞳で僕を見上げる。そんな彼女が愛しくて。彼女の不安なんて、僕がすべて取り除いてあげたいと強く思う。
「...私、もうすぐ社会人になるでしょ」
「うん」
「それがね、とても....こわいの」
その言葉と共に、彼女の大きな瞳からポロポロと涙が溢れていく。
「...周りの子はね、好きなこととか、やりたいことをちゃんと見つけてるの。」
"でもね"と涙声で続ける彼女。
「私はそういうことも、見つかんなくて。ただ、近くて、通勤しやすいかなとか、そういう理由で就職先決めて。なんか、このままでいいのかなって、私は、これから先、どうなるんだろうって。」
「うん」
「...一度、考えたら、ずっと頭のなかそればっかりになっちゃって。不安で不安で...それで、唯くんに会いたくなったの」
それから彼女は、"ごめんね"と小さく呟く。