君の声で目覚める朝。



「なんだったら、学校卒業したらそのまま、"僕のお嫁さん"っていう道もあるよ。」

なんて言ってみれば、彼女は少しだけ考えるようにして、それから首を横に振った。

「ありがとう、唯くん。
 ...だけど、私頑張ってみるよ!」

そう彼女はいつもの笑顔で言った。

「そっかそっか」


幾らばかりか晴れた彼女の表情に、嬉しいような。けれど断られたようで、少し悲しいような。複雑な気持ちになった。

そんな僕の思いに、気付いた彼女は、"ねぇ、唯くん"と悪戯っ子のように笑って言う。

「でも、毎日一緒に出勤するのも、いいよね」

なんて彼女の言葉に頬が緩んだ。

「...それは、プロポーズ返し?」

と聞けば、彼女はただ楽し気に笑う。


そんな彼女を見て、"夏帆ちゃんが笑っていてくれれば、それでいいや"なんて思った。


「ねぇ、唯くん」

「なぁに、夏帆ちゃん」

「...唯くんが、だいすきだよ」


そう言って、優しく微笑む彼女の声で目覚める朝は、どんなに幸せだろうか。そんなことを想像しては、彼女の頬にそっと口付ける。


「僕も、夏帆ちゃんが、だいすきだよ」





*end*


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