噂の年下男





「ファーストクラスなんて荷が重いし、あの男一人のために、あたしがここにいるのはおかしいです」



「そうだわね……

でも、艶でしょ?」




先輩はあたしのことなんてどうでも良さそうで、優弥に釘付けだ。

チンピラのようなものなのに。

ダサいのに。




「あの男には、戸崎は体調が悪いとでも言っておいてください!」




あたしはそう言い放って階段を降りた。






優弥のせいで踏んだり蹴ったりだ。

きっと、すぐにあたしの噂は広まってしまう。

戸崎は碧の姉だ。

艶と付き合ってる。

……勘弁してよ。

だけど……

胸がドキドキするのはなんでだろう。

必死に、ファーストクラスの方向ばかり気にするのはなんでだろう。











それ以降、思うように仕事が出来なかった。

優弥が乗っていると思うだけで。

そして、ようやくロサンゼルスに到着し、疲れ果てたあたしはベッドに倒れこんだ。

色々考えるとアタマが痛い。

だけど、考える暇もなくて。

あたしは、深い眠りへと入っていった。





< 148 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop