クジ引き
血が抜けて少しは軽くなったケンイチの足を袋に詰める。


そして左足に取り掛かった。


作業を始めてから何時間経過しているんだろう?


外はまだ暗いけれど、時間がわからないという焦りが湧いてくる。


妙な力が入ってしまい、ノコギリがケンイチの足から抜けた。


その拍子に足を掴んでいた左手にノコギリの刃が当たった。


「いたっ!」


人差し指から血がにじみ、あたしは指を押さえた。


思いのほか深く切ってしまったのか、血はどんどん溢れ出し痛みが走った。


あたしは大きく深呼吸を繰り返す。


これじゃぁ手に力が入らない。


朝までに体全部を解体するなんて無理だ……。


そう思ったとき、脱衣所で物音が聞こえて来た。


あたしはハッとして呼吸を止める。


カーテンシャワーのせいで人影があるのかどうかが見えない。


「彩花?」


朝日の声がドアの向こうから聞こえてきて、あたしは絶望を感じたのだった……。
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