クジ引き
「朝日がこの犯人……?」


あたしはジッと写真を見つめる。


朝日にそっくりだけれど、やはり本人かどうかの判別まではつかない。


こんな極悪人が自分の家にいるのだと思うと、背筋が寒くなって虫唾が走った。


微かな吐き気を感じたあたしはスマホを閉じて、水を飲んだ。


心臓がドクドクと早くなっているのを感じる。


過度のストレスと急激に感じたためか、呼吸も乱れて来た。


あたしがこんな事でどうするの。


朝日は自分の記憶もなくして、殺されるためにあたしのそばにいるというのに。


一番不安で怖いのはあたしじゃないのに。


あたしは朝日の優しい笑顔を思い出していた。


暖かくて一緒にいるとドキドキして、自然と惹かれていってしまった相手。


大丈夫。


こんなのきっと他人のそら似だ。


そう、思うのに……あたしの手の震えはいつまでも止まる事がなかったのだった。
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