クジ引き
何度か愛し合った後、朝日の寝息が隣から聞こえて来た。


よほど疲れてしまったのか少し体を揺さぶってみても起きない。


あたしはそっとベッドから抜け出して着替えをした。


真夜中の2時。


窓の外は真っ暗だ。


あたしは最低限の荷物だけ持って家を出た。


唇には真っ赤なリップを塗り、髪の毛はクルクルにまいて派手にしてネオンが光る街を歩く。


この辺りは夜になると危険だと、街の人間なら誰もが知っている場所だった。


ホストクラブやキャバクラが軒を連ねて、派手な男女が入り乱れる夜の街。


あたしはそんな路地を1人で歩きはじめた。


スーツ姿で酔っぱらっている男性。


そんな男性を引き止めているドレス姿の女性。


そのどれもが自分とは縁遠いものに見える。


「ねぇ君、1人?」


後ろからそう声をかけられて振り返ると、白いスーツ姿の男性がほほ笑んでいた。


明らかにホストだ。


「今から約束があるから」


あたしは適当にあしらい、また歩き出した。


周囲に目を配り、ゆっくりと歩いていく。
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