囚われ姫と金と銀の王子

その足でひとり、私は地下牢へと足を向けた。


目的はエリスに会う事。


何回も話をして私の気持ちを伝えてきたつもりだが、私は彼女達の気持ちを聞く事をしなかった。

いまさら遅いかもしれないが、それでもやれることはやってみようと思う。


これは全て私の責任なのだから。

真摯に受け止めなければならない。




「エリスに会いたい。会わせてくれるか？」

牢の門番に声を掛ける。

私が突然来た事で、門番の騎士は驚いた表情を見せた。


「で、殿下！それはなりません！あの女は殿下を殺そうと目論む恐ろしい女です。もし殿下に何かあったら・・・！」

「そうなったのは全て私の責任だ。大丈夫だ、心配するな」

「しかし殿下・・・！」

「これは私の命令だ。会わせてくれ」


そう強く門番に話すと、門番は仕方なくその先へと通すように塞いでいた入口から退いた。

私は深く呼吸をし、そしてエリスのいる牢へと向かう。


相変わらず暗くかび臭い場所。

その臭いを嗅ぐと、ソフィアと出会った時の事を思い出す。


あの時のソフィアは誰よりも力強くそして美しく、私はその姿に惹かれたのだ。

その気持ちは変わることなくどんどんと膨れ、そして今その想いはソフィアに届かず、苦しい思いをしている。


彼女達も同じような思いをしてきたのだ。


いや・・・彼女達はもっともっと苦しい思いをしてきたんだ。