囚われ姫と金と銀の王子

「では殿下、私が慰めてあげますわ。殿下が少しでも心落ち着くように」

「そうさせてもらおう、エリス」


彼女の首筋に唇を落とす。

甘い吐息が彼女の口から吐き出された。



・・・そうだ。

本来女というものはこうでなくては。


潤んだ瞳で私を見つめ自分の弱さを前面に出す。

そして私に縋り、愛されたいと呟く。


私の言葉に一喜一憂し、必死に取り繕う様は見ていて愉快この上ない。


だからこそ、あの女の態度は余計私の癪に障る。

私の言葉に対し、逆らう事は許されないんだ。




―――全ては私の思いのままに。


< 90 / 228 >

この作品をシェア

pagetop