逆光






「パスタ食べないか?奢るよ。」

「……分かりました。」


寺田総馬の口の横にあるえくぼを見ながら和泉は仕方なく応じる。
確かにフェラガモのパンプスの対価にラーメン屋一回だけでは釣り合わないだろう。

溜息を吐きたい気持ちを抑えて寺田総馬の隣を歩く。


それにしても。
数回しか話したことはないが、和泉と話す寺田総馬は贔屓目に見ても楽しそうとは言えない。
むしろ怒っていたり、機嫌が悪くなっていたりすることが殆どだ。
一緒にいて楽しくないのに、何で寺田総馬は和泉と話したがるのか。



爽やかな好青年に見せかけてただの面食いなのかもしれない。

和泉がそう考えている横で、「最近麺類がすごく美味しく感じてな」と寺田総馬はどうでもいいことを話していた。







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