無機質な恋模様
『OH!信じられない!』


初めて彼に会った日の事は、忘れたくても忘れられない。


『キミがメンバーの一員だなんて、ここはずいぶん古めかしい場所なんだな』


両目を見開き、心底驚いたようにそう言葉を発していたっけ。


……悪うござんしたね、古い女で。


このコミュニティーの中で、ひときわ異彩を放つ存在である事は言われなくても私が一番よーく分かってるっつーの。


だけど先代のオーナーがイマイチ私の役割を理解していないままに、ノリで他の仲間達と一緒にここに迎い入れてしまい…。


案の定、上手く活用できずにもてあまし、結果、見てみぬふりのほったらかし状態となったのだった。


他の人達も、私がいる事に最初はとても驚き、物珍しそうにあれこれ観察するのだけれど、やっぱりすぐにガン無視を決め込むようになる。


そして「一旦入れてしまったものをわざわざ外すのも面倒だし…」という理由で私はここに残され、現在に至るのだった。


『あーあ、今日もさぞかし暇なんだろうな』


定位置に腰掛け、窓の外をぼんやりと眺めながら私はため息混じりに呟いた。


すっかりいないもの扱いをされているワリには外界がよく見渡せる、ベストポジションに配置されているんだよね、私。
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