無機質な恋模様

ずいぶんと、小さなものなんだな、と思った。


そして温かくて柔らかい。


こんな儚く頼りないもの、力を加減しなければ、きっと壊してしまう。


ダミーの人形を相手に訓練を重ねて来たけれど、やはり生身の人間となるとだいぶ構造が異なる。


でも、大丈夫。


私は優秀だから。


その物体に与えるに相応しい力を瞬時に計算し、その難題を無事クリアする事ができた。



「初めまして、ヒカル。私の名前はマモルです」

「マモル……?」


手を握りつつ、小さなヒカルと視線を合わせるために屈んでそう言うと、彼女は少しオドオドと、しかし「好奇心」に満ちた、黒目がちの大きな瞳で私を見つめ返してきた。


「ヒカルのお世話をするために、ずっとヒカルと一緒にいる為に、この家に来ました。これから、どうか、末永くよろしく」
< 43 / 54 >

この作品をシェア

pagetop