ずっとお前を待ってるから
『なあ、俺ゆーの事好き』

『うん?私も冬二くんのこと好きだよ?』

『そうじゃなくて、ともだちだから好きじゃなくてさ!恋愛で!』

『れんあい…?』

この時キスされたのを覚えてる。恋愛の単語すや知らなかった私は冬二の告白に素直に嬉しかった。
でも、それは゛友達゛として。冬二に恋愛感情を抱いていたと知ったのは彼が転校した後だった。

『俺、ゆーを必ず迎えにくっから!』

『私も…冬二くんをまってる…っ!』

『絶対に俺のかのじょにしてやるからよ!』

『か、のじょ……う、うんっ!私冬二くんのかの、じょになるー…っ!』

夢の中の自分はなんて軽率なのだろうか。恋愛、恋、結婚。そんな事を小学生の冬二は知っていて私に毎日のように言っていた。最終的には結婚の約束までしそうになり母に話した事で父が嘆き悲しんでいた事を鮮明に覚えている。

「…あ…」

「柚那、来たわよー」

「あ…う、海」

「何辛気臭い顔してるのよ」

「え、あ…何でもないよ」

目を覚まし夢の中の昔の自分にため息が漏れる。カラカラと戸が開く音が聞こえ体を起こす。花束と果物を持って海が入ってきた。
私の顔を見るなり首を傾げ眉間に皺を寄せる。
苦笑いを浮かべ何でもないとだけ言うも海には全てお見通しのようだった。

「…もしかして、あの時の事思い出していたの?」

「…違うよ、もう…過去の事だもの」

そう、過去。ふと、嫌な思い出が蘇り頭を横に振る。

「過去、ね……あ、そういえばこれ」

「わあ、美味しそうな果物ばっかり…」

「農園の娘だからね」

私に心情を察してかため息をつくや否や渡してきた袋には瑞々しい輝きを放つ果物達。この街一番大きい農園の持ち主の娘の海は袋に入っていあた苺を一粒取り出すと私の口に放り込む。

「ん〜、本当に海の所の果物は美味しいね」

「そういえば、知ってる?」

「何が?」

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