イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「今までバレンタイン商品ばっかり推してたが、少しでも施設で出す料理の幅が広がるように、何かいい提案をしてやろうかと。そうすれば、デザート以外の自社商品も使ってもらえるかもしれないだろ」

「なるほど……!」


目から鱗のような部長の考えを聞いて、私はまたときめきとは少し違う胸の高鳴りを感じ始める。

以前同じ感覚になったのは、部長が配送の手伝いをしていた時だった。今なら、これが何なのかわかる気がする。

私は、数字や利益だけでなく、目に見えない大事なこと──関わる人達の気持ちまで考えられる、彼の細やかさに胸を震わされているんだ。

ブラック上司の異名に似つかわしくない、優しさを秘めている。そんな彼に私もついていきたいと、強く思う。


「それ、私も考えてみます! 自社商品を使った、バレンタインに合う料理」


意気込んで言うと、部長は少し目を開いて私を見上げる。


「私も、自分にできることは協力したいです。部長のその心遣い、すごく素敵だと思うので」


さっきまでの気まずさはどこかへ消えていて、私は自然と笑うことができていた。

それにつられたように、部長の表情もふわりと柔らかくなり、少しだけ照れたような笑みが生まれる。


「お前ならいい案を出してくれそうだな。期待してるよ」

「……はい!」


期待を裏切らないようにと気合いを入れて、元気な返事をした。

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