記念日に愛の言葉を

藤井のせいでこっちは残業確定なのに!あんたの尻拭いなんて正直やりたくないけど会社で働いている以上、上司の命令には不本意だけど従わないといけない。

私の正面に座っている藤井をパソコン越しに睨み、小さく舌打ちする。その藤井の机の上は綺麗に片付けられ、帰る気満々で余計に腹が立つ。

「あれ?もしかして大島さん今日は残業ですか?」

全く仕事が終わる気配のない私の様子に気づいた藤井は可愛らしく首を傾げる。あんたのせいだよ!と言ってやりたかったけど、その言葉をのみ込みニコリと笑顔を張り付けて口を開いた。

「えぇ。途中で思わぬトラブルがあったから」

「そうなんですか?それは大変でしたねー」

ホント何なの?あんたのミスを押し付けられなかったら私だって定時で帰れたんだよ。さっきだって手伝ってあげたのにお礼の一言もないし、そういうところも気に食わないのよ。って、藤井に構っている暇はない。さっさと続きをしようとパソコンのキーボードに指をのせた。

「藤井さん、最近ミスが多くないですか?」

隣りの席から私にこっそり耳打ちしてくるのは、藤井と同期の馬場美香。

「あー、そうかもね」

適当に相槌を打ちながらも手は休めない。
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