ゆえん

冬真さんは修ちゃんの大学時代の同級生だった。

彼は私の終わらないでいる片想いを終わらせるため、あれだけ探しても会うことが叶わなかった修ちゃんに会わせてくれた。

囚われ続けた想いから、前を向いていくために私を助けてくれた人だ。



それと同時に私は、あの事故で亡くなった二人の人間が、冬真さんの家族だということを知ってしまった。



今思えば、修ちゃんこそが冬真さんと私を出逢わせた脇役のように感じる。

私が十年も修ちゃんに拘り続けてしまったことも、悔やみ切れない過去の行動も全て、私が今、冬真さんと一緒に仕事をすることに繋がっているのだから、決して無駄なことではないと思えるのだ。

冬真さんの存在があるから、修ちゃんと菜穂が私を裏切ったことも過去にすることが出来るのだ。