ニコル
発生と暴走
 教室の中は少しずつざわめき始めていた。

 「先生、戻ってこないな。」
 「大友さん、どうしたんだろ?」

 はじめはそんな会話からはじまった。が、徐々にそんな事とは関係のない会話がはじまった。
 昨日のテレビの事、好きなアイドルの事、ヒーローの事、テレビゲームの事、各々が好きな事を話しはじめると教室の中は収拾がつかない状況になった。堤防が決壊したように、言葉の洪水に襲われていた。
 学級委員は賢明にみんなを自習させようと教壇に立ち注意していた。
 「静かにして下さぁい。自習して下さぁい。」
 そんな言葉も虚しく流されていった。
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