九条くんは、王子様





「そう、ここ俺の親父が経営してて、イギリスにきてからは、ずっとここのホテルに住んでるんだ」


「え、ええー!!…か、家族と一緒に住んでないの!?じゃ、じゃあなんで、イギリスに…」

「もともと、子供に関心のない親で、今回も、経営を、学ぶためだけにイギリスに、呼ばれたんだ」


「そんな…、寂しくないの?」と心配そうに、九条くんを覗き込んでみる


九条くんは、少し私から目線を外し「んー、分からないかな」と、から笑いした。



…九条くんの綺麗な顔は、時々少し冷たく見える。


きっと、九条くんは、今まで寂しかったんだよ…、自分で、その気持ちを閉じ込めてるだけで…。


「九条くん!」


「あのね!九条くんには、カオルくんも私も理香ちゃんやクラスの皆、いや…九条くんはね、みーんなから好かれてるから、えっと…えっと…心配いらないから!みんな、九条くんの事、大好きなんだよ」



………


う…だめだ、伝えたい事が上手く言葉にできない



「ぷ…、ありがとう!嬉しい。」



「え!!!いま、なんで笑ったの?わたし、真剣だよっ!!」


「ごめん」



「え、謝られると、余計に怖いよ!!!」



ごめん、と…ふわっと笑う九条くん



きっと、わたし九条くんの笑顔を見て、許せないことなんかない…と思う


私も釣られて「えへへへ…っ」と笑った

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