なみだ雨





あの時。

助けてくれた時。

わたしは心から嬉しくて。

でも下着姿を見られるのは恥ずかしくて。



本当は家に帰るのも嫌で。

行かないでくれ、

そう言われるのを待っていて。


家まで送ってくれる車の中で、

「帰りたくない」を何回

言おうとしただろう。


自分で決めたことなのに、

どうしてこうも守れないのだろう。



家に帰ってから、

殴られて、

無理矢理やられて、

そのたびに練のことを思い出していて。


泣くもんか

こいつの前で絶対絶対泣くもんか



そう思っていた緊張が、

今はもう緩んでいて。



会いたい。

今すぐ会いたい。

会ってお礼が言いたい。


だけどまだ、

顔の痣も、口の端の傷も

体中の傷も、

何より、

汚れてしまったこの身体を

見せるわけには行かなくて。


練のことが好き。


練への気持ちがわかったからこそ、

練に会ってはいけない。



会いたい。

梁島さん、会いたいです。



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