その瞳をこっちに向けて
『ふざけんなっ!』とか言われると思っていたものだから、中畑先輩のその反応に今度は私の方が何て言葉を返せばいいか分からなくなる。
結果、「冗談なんで、そんな反応されると困るんですけど」と真顔で言っていた。
それに一瞬中畑先輩がぽかんと口を開けたと思ったら、直ぐに自分の顔を手で被う。
「その冗談、俺以外に言うなよ」
恥ずかしそうに、でもどこか拗ねている様な口調でポツリと漏らされるその言葉。
「何でですか?」
「何ででもだよ!」
「中畑先輩は毎度ながらわけ分かんないですね」
「うっせぇ」
中畑先輩の心意が掴めず首を傾げる私の横で、唇を尖らせる中畑先輩はいつもより幼く見えて、気付いたらその姿にフフッと笑っていた。