その瞳をこっちに向けて


「これ、誕生石なんです。私の誕生石じゃなくて、彼氏のなんですけどね」

「ペアものですか?」

「そうなんです」


幸せそうにふわっと笑うと共に、一気に真っ赤に染まる彼女の頬。


その顔を見ただけで、こっちまで幸せを分けてもらった気になるから不思議だ。


 その時、そんなふわふわとした彼女との心地いい時間の中、彼女を呼ぶ一際大きな声が私の後ろから聞こえてきた。


「美音!」


名前を呼ばれた彼女は私から視線を外し、私の後ろからやって来る人へと目を向ける。


その瞬間、再び嬉しそうに微笑む彼女。



これは、……彼女の彼氏が来た…かな。



そんな推測をして後ろを振り返った所で、思わず目を見開いた。


「何もってんの?」

「3段チェスト」

「貸して」


彼女の真横まで来て、彼女の腕の中からスッとあの大きな3段チェストをかっさらう彼。

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