イジワルな初恋
毎朝一緒に登校して、毎日謙二たちと一緒にりりーも誘って弁当を食べて、帰る前には部活を見にきてくれたり、一緒に過ごす時間が少しずつ積み重なるたびに俺のこの気持ちがなんなのか、ハッキリと分かるようになっていった。


初めてのレギュラーに選ばれたときも、受験に合格したときも、涙を流して喜んでくれたりりー。

そんな彼女の優しさが俺の涙腺を弱らせて、りりーの細い体を抱きしめた俺は、これ以上自分の気持ちを隠せない。
そう思ったから、告白をした。


だけど廊下で彼女の声を聞いてしまったときは、心臓をえぐられたような、どうしようもないくらい悲しい気持ちになった。


たとえ振られたとしても今のまま友達でいられると思っていたのに、心って案外もろくて……。

いつまでもグズグズ落ち込んでどうしようもないくらいガキだった俺は、結局りりーとは気まずいまま、別々の道を歩き出した。


けど、高校で野球をがんばって、夢に近づけたらそしたら何事もなかったかのようにメールを送ろうって思ってた。


本当にそう思ってたんだ……。



< 72 / 85 >

この作品をシェア

pagetop