さよならは言わない

「だいたいさぁ、なんで社長令息の結婚式でドレスをレンタルするの? それって、ケチ臭くない?」


友美の言いたい放題には周りがハラハラするほどに驚かさせた。


「俺だって絵里に似合うドレスを作りたかったさ! それを、本人の希望でレンタルにしたんだ」

「入籍だけ済ませて式はあとでやれば新婚旅行も盛り上がるんじゃないの? そのお腹じゃ新婚旅行どころじゃないでしょ?」

「もう入籍は済ませた」


尊はかなり友美の発言にイライラしている様子。

友美は私の命の恩人でもあり親友でもあるので、無下に出来ないことがかなり苛立つようだ。


「友美さん、よかったら少しあちらでお茶にしませんか? あなたも疲れたでしょう?」

「まあ、社長夫人にそんなことして頂いては!」

「遠慮はいらんよ。家内とゆっくりお茶でも飲んできなさい」


お義母様感謝! と、言いたいけど、尊はかなり不機嫌なままだ。

友美は長年に亘り私が尊に辛い目に遭ったのを見ていたから、きっと簡単には許せないし認められないところもあると思うのよね。

だって、それだけ私を心配してくれたのだから。


「尊、友美はいつも私を心配してるの。だから、ごめんね」

「分かってるよ。彼女は俺を未だに信用していないんだよ。絵里を傷つけるんじゃないかって」


尊は何もかもが誤解だと判ってから、以前の優しい尊に戻った。

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