失恋シンデレラ
第1話 失恋シンデレラ
彼が"長い髪"が好きだと言った。

彼が"ピンクベースのメイク"が好きだと言った。

彼が"白のワンピース"が好きだと言った。


だから私は髪を伸ばして、
ピンクベースのメイクをして、
白のワンピースを着た。

彼は"可愛い"と言って笑った。
私は彼の言葉に頬を赤らめた。

彼のためになら、
私は可愛くなろうと思えた。

たくさん努力した。

オシャレだけじゃない。
勉強だって、部活だってそう。

でも私は今日、1年付き合った大好きだった彼にフラれた。


"他に好きな人ができた"

彼はそう言ったあと"別れたい"と言った。
私は、何も答えられなかった。

去っていく彼を呼び止めもせず、ただ後ろ姿を見つめていた。
見えなくなっても、彼が消えていった建物の壁を見つめていた。

いつか私を王子様が、ガラスの靴をもってむかえにきてくれると思っていた。

17歳にもなって夢を見すぎだとみんなは言うけれど、私はずっと信じていた。

そして1年前、王子様は私の前に現れた。
それが彼だ。

なのに、彼は私の前から居なくなった。

長い髪も、
ピンクのメイクも、
白のワンピースだってもう意味はないんだ。

シンデレラが綺麗なドレスを着て、王子様のいる舞踏会に行くことはないんだ。
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