美月~大切なあなたへ~
沖田先生は、寂しそうな顔で、語り始めた。



「龍心には……、日明以上に深いキズがあるんだ…。


本当は、どっちのが深いとか言っちゃいけないんだけど…。

日明はあんな性格だから…。


アイツがあんなに精神的に参ってるのは、あの性格が問題なんだ。


言っちゃ悪いけど、あれだけであそこまで傷ついた奴は見たことねぇ!


日明の傷は、誰かの癒しとか、本当は必要ないはずなんだ。自分でどうにかできるはずなんだよ…。
アイツの精神力の足りなさで、こんなことになって、まだ付き合いの足りない生徒まで巻き込んでる。」



『日明先生は精神力が足りない……?』



「あぁ。」



そっか……?


強く見えるけど、本当は強がってるだけで、日明先生は意外と脆いのかもしれない。




確かに、日明先生は、時々臆病に見える。


クラスでの話し合いの時、先生としての意見も述べるけど、決して推さない。



“ま、皆で決めちゃって”


最後には絶対こう言うし。






「でも……龍心には……
何か大きな支えが必要だと、俺は思う。

あまりにも、残酷すぎるんだ、アイツの過去は。」



残酷………



「これから先ずっと、アイツを側で強く支えてくれる人が、必要だと思う。」





























――――真っ白な世界



龍心先生の心が知りたくなった。







イメージが浮かぶ。







真っ白な世界の中で、1人




天を見上げて静かに涙を零す龍心先生。










今………



何を思っているんですか。








龍のように、孤独に耐えているのですか。









“龍の心”って、冷たいイメージです。







もしかして、昔の私と同じ気持ちですか。













大切な人を失った私と。










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