君に向かって、僕は叫ぶ。
窓の外も暗くなった頃、帰り支度をしながら美咲は言った。

「本当に今日は楽しかったなぁ~!ありがとうね、優雨。」

「こちらこそ!そう言ってもらえると嬉しいよ!湊も楽しかった?」

「うん。楽しかった!」

僕がそう答えると、優雨も美咲も満足そうに笑った。

そしていつものように、美咲が言う。

「明日はどこに行こうか?」と。

その言葉で、また三人で考える。

「プールは?」

「美咲、前行ったじゃん...。」

「わ、分かってるよ!もううるさいなー湊はー。」

「じゃあ、湊はどこ行きたいの?」

優雨に聞かれて、答える。

「僕は...映画館とか?」

「却下。」

「なんで!?」

「昔から湊が見る映画つまんないもん!話が難しくて。」

「それは美咲がバカだからだろ?」

「なにをー!!!」

「ふふっ!」

僕と美咲のやり取りを聞いて笑っている優雨に、美咲が聞く。

「じゃあ優雨は?どこ行きたい?」

「私?私は.....」

優雨は少し悩んでから言った。


「二人といられたら、どこでもいいよ。」


優雨は僕らに背中を向けて見えなかったけど、いつもと違う気がした。

「優雨....?」

思わず呼ぶと、何事もなかったように優雨は笑顔で振り返る。

「何?どーしたの?」

「あ...いや、なんでもないよ。」

僕の思い過ごしだったのかな...。

でも、いつもの優雨の声じゃなかったような気がした....。

「まったく優雨ったらぁ~!大好き!!」

「ちょっとやめてよ、美咲ー!」


じゃれ合う二人の声を聴きながら、僕はなぜか不安になった。

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